""
株式会社ハートウェア SI Visionの株式会社ハートウェア:「語りかけ、歩み寄る」タフに地道にハートワーク、フットワーク
""
株式会社ハートウェア:ホームへ
""
株式会社ハートウェア:会社情報
""
株式会社ハートウェア:サービス
""
株式会社ハートウェア:採用情報
""
株式会社ハートウェア:ハートウェア応援団
""
今月のハートウェア応援団
バックナンバー・気ままにご挨拶
バックナンバー・読書に乾杯! 
バックナンバー・恥かき読書
バックナンバー・エッセイ
 
""
株式会社ハートウェア:リンク集
""
株式会社ハートウェア:社長の一言バックナンバー
SI Visionの株式会社ハートウェア
 
""
株式会社ハートウェア:ハートウェア応援団・気ままにご挨拶
""

        二宮尊徳の言葉(2)      (平成27年12月)

 今月も二宮尊徳翁の話を続けます。尊徳翁の少年時代のことです。早くに両親を亡くされており、長男である尊徳少年は、父方の伯父の家で世話になっていました。できるだけ伯父の厄介になるまいとして働きました。とはいえ少年ですから、大人一人前の仕事ができません。日中に仕上げられなかった分は、夜になっても働いて仕上げました。また、字の読めない人間で生涯を終わりたくないと思っていましたので、仕事の後は、深夜になっても入手した孔子の『大学』を熱心に読みふけりました。

 勉強をしていることが、そのうちに伯父に見つかってしまいました。伯父は自分には役に立たず、若い尊徳翁の将来にも役に立つとは思えず、貴重な油を使って読書をすることを止めるように、きつく叱りつけました。少年の尊徳翁は「伯父の怒りはもっともなことだ」と思い、「自分が働いて得た油の灯りで、勉強できるようになるまで、それまで本を読むのは止そう」と決心し、翌春、川岸の僅かの土地に油菜の種を蒔き、休日を返上してしっかりと油菜を育てました。

 一年が過ぎ若い尊徳翁は、袋いっぱいの菜種を収穫し、これを油屋に持ち込んで数升の油と交換しました。これで夜は思うさま勉強できると喜んだのですが、伯父には喜ばれませんでした。伯父は「お前は俺の世話になっている。お前の時間は俺の時間だ。俺の言う通りに働け」と言うだけでした。尊徳翁はこの伯父の言葉も「もっともだ」と思い、田畑での重労働の後は、夜はむしろ織りや草鞋作りに励みました。尊徳翁の読書時間は、干し草や薪を山に取りに行く往復の時間になってしまいました。

 この逸話が、戦後はいつの間にか無くなってしまいましたが、二宮金次郎が薪を背負って本を読みながら歩くあの像の基です。それが全国の小学校の校舎の入り口か、校庭には必ずありました。65年前、応援団子が小学校卒業記念として贈られたセルロイドの下敷き。そこには校長先生が「刻苦勉励」と書いて下さいました。そのときにはただ「時間を惜しんで勉学に励むこと」と理解していました。後年、二宮尊徳翁の偉大な生涯を学び、校長先生が当時の子供たちに伝えたかった本意を、ようやく知ることになりました。

 二宮尊徳翁の生涯を学ぶとき、上述の尊徳翁少年期の経験は、尊徳翁の生活信条といいますか、尊徳翁が人に伝える教義として昇華していました。それは「天禄」「分度」という単語で語られています。何といっても封建制度時代のことですから、尊徳翁は『人は生まれながらにして「祖先の余慶と推譲」(歴代の祖先の働きで、祖先が世の中に遺してきたこの家の人徳、余得)によって、生来、得られてあるものが、一応、その人の「天禄」となっている』と考えます。人はその「天禄」を、今度は自分の代に如何にするかです。

 よって平素の自身の働きの仕法は、「積小為大」「推譲積徳」を心がけることだと考えました。つまり、「小さなことをコツコツと積み上げて、やがて大きなことを為していく」ことであり、「自分の出来る範囲で、人のために僅かなことでも尽くし、やがてそれらが積もりに積もって、それが自分の徳となっていく」ということ。そこには「常に自分の出来る範囲の限度の中で蓄えた分を、人のために施す」という生活信条をもって、暮らしていくことにあると考えました。これこそ「分度」を心得るということでした。

 尊徳翁はこうした考え方を、生活の貧しいときから実践し、生涯を貫き通しました。やがて、自らも独立し、二宮家の本家をも建て直し、尊徳翁の業績は、小田原藩の藩主大久保忠真も認めるところとなりました。藩主は、尊徳翁に封建時代にしては法外な仕事を命じます。それは小田原藩の領地である下野(しもつけ)の物井、横田、東沼という荒廃した三村の建て直しという仕事でした。この難業は誰もしり込みをして引き受け手のないもので、藩主は尊徳翁の不屈の忍耐力を見込んでの申し入れでありました。

 尊徳翁は、この難問に対して、どのように対応していったのか。その後、尊徳翁の生涯はどういう方向に進んでいったのか。来月、もう一月をかけて、尊徳翁の行動を追うことにしたいと思います。恐縮千万ですが、もう一月お待ち下さい。今月はこの辺りで擱筆させていただきます。 (応援団子A)

 参考文献 黒岩一郎著 新講「二宮尊徳夜話」(明徳出版社)
      内村鑑三著 「代表的日本人」(岩波文庫)

このページのTOPへ▲
<<気ままにご挨拶・27年11月へ 気ままにご挨拶・28年1月へ>>


Copyright 2005-2006 HEARTWARE Co. All Rights Reserved.