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池井戸潤の「倍返し」 (平成26年 3月)

 年末イベントの一つ「流行語大賞」選考の中で、昨年は「倍返し」という言葉が、「おもてなし」、「今でしょ」、「ジェ、ジェ、ジェ」と共に選ばれておりました。「倍返し」は、言わずとしれたテレビ・ドラマ「半沢直樹」の主人公である半沢直樹が、陥れられていく自分の環境を覆すべく発した言葉です。「やられたらやり返す」という言葉が前置きになっていて、その反骨精神というか、 不屈の気概が、 一般大衆の心を掴んだと思われます。とにかく良く流行りました。

 このドラマの原作は、2007,8年に発刊された池井戸潤の著作「オレたちバブル入行組」と「オレたち花のバブル組」が元になっていますが、このドラマの爆発的なヒットにより、書店では再び本の売れ行きが良くなったようです。テレビの方では主人公の半沢直樹が、学生時代に父親自殺という悲惨な事件に遭遇します。そしてその原因が、銀行による情け容赦のない処置にあったことを、深く胸に刻んで銀行に入社するところから、物語は展開し始めます。大企業の町の下請け工場として、ネジを造る小さな会社を経営する父親を苦しめた当時の担当者は、今や銀行の重職を担う役員になっており、その役員を見返すというのが物語の筋書きで、それが「倍返し」という言葉につながっていくわけです。
ドラマでも原作でもそうですが、半沢直樹の姿勢に元気が貰えます。喩え相手が上司であろうと、横暴な権限を振り回すときには、敢然とこれに立ち向かっていく姿勢に、読者も勇気が湧いてきます。

 池井戸潤は、自身が銀行マンとしての経験を有し、その後、コンサルタント業にも携わりましたので、多くの作品が中小の銀行の、しかも、地域支店の一銀行員の目に映る上司たる支店長や同僚の担当員の生活信条を描いたものが多くあります。あるいは、取引先の中小企業経営者のものの考え方も、小説の材料に使われます。その短篇作品の一つ「かばん屋の相続」では、東京の池上本門寺近くのかばん屋の話が描かれていきます。 技術的に優れた丈夫な鞄を地道に造り続けて、 お客さんの信頼を勝ち取って来た老練社長の物語です。その社長には二人の息子がいて、長男は日頃、親父のことを冷ややかに見て、エリート銀行マンとして親父の会社には寄り付きません。一方、 次男はその親父に寄り添って、 親父と共に鞄の製造販売に精進しています。この社長が突然亡くなったのです。

 社長は遺書を残していて、その遺書には何と、これまで一緒に経営してきた専務の次男ではなく、長男に家業を継ぐように書いています。そこには長男の画策を感じるものですから、次男の嫁は堪りません。この小説の影の主人公であるかばん屋に出入りをしている銀行員に愚痴を吐きます。「お義父さんは何と言う人だ。うちの人があれだけお義父さんと一緒に働いてきたのに、結局は、長男に家督を譲るのか」と。ところが、これには深い訳があります。ここから先は本をお読みになっての楽しみということにしますが、作者が言いたいことは「仕事には、労せずに良いとこ取りが出来るような美味しい話はない」ということ、更には「日常からコツコツと積み上げていく、現場志向の仕事を大切にせよ」ということでしょう。

 応援団子としましては、このところ池井戸潤作品に、ドップリと浸かっている感があります。実は、池井戸潤は2011年に「下町ロケット」で、第145回の直木賞を受賞しています。この本のことは、次回の「読書に乾杯!」で採り上げます。今月はその予告編をさせていただく「気ままにご挨拶」になりました。(応援団子A)

  

 
(お詫び)
本原稿中の流行語大賞四つのうち、「アベノミクス」は「ジェ、ジェ、ジェ」の間
違いでした。お詫びを申し上げ訂正させていただきます。(応援団子A)


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