""
株式会社ハートウェア SI Visionの株式会社ハートウェア:「語りかけ、歩み寄る」タフに地道にハートワーク、フットワーク
""
株式会社ハートウェア:ホームへ
""
株式会社ハートウェア:会社情報
""
株式会社ハートウェア:サービス
""
株式会社ハートウェア:採用情報
""
株式会社ハートウェア:ハートウェア応援団
""
今月のハートウェア応援団
バックナンバー・気ままにご挨拶
バックナンバー・読書に乾杯! 
バックナンバー・恥かき読書
バックナンバー・エッセイ
 
""
株式会社ハートウェア:リンク集
""
株式会社ハートウェア:社長の一言バックナンバー
SI Visionの株式会社ハートウェア
 
""
株式会社ハートウェア:ハートウェア応援団・気ままにご挨拶
""

霜月のついたち (平成24年11月)

 平成20年11月1日に一年余の準備期間を経て、梅原猛氏、瀬戸内寂聴氏、ドナ
ルドキーン氏など八人の文化人からなる源氏物語千年紀委員会は、「古典の日」宣言を
いたしました。それから四年の歳月を経過して本年9月5日、通常国会において「古典の日」は正式に我が国の記念日として認められました。11月は陰暦でいえば「霜月」です。冒頭に掲げました題目「霜月のついたち」には、「古典の日」誕生の意味を
含ませていますが、このことは後述いたします。

 四年前の「古典の日」宣言のことは、当時、新聞でも採り上げられ、応援団子もこれを読んでいたく感動した覚えがあります。 そして源氏物語千年紀の由来について
は、そのとき「紫式部日記」の中に答えがあることを知りました。早速、書店で「紫
式部日記」を購入し、それを読んで確かめ、改めて古典として残る古い時代の文書の
貴重さと古典の意義について考えました。ここに源氏物語千年紀委員会の皆さんが、
世に提起された「古典の日」宣言の中から「古典とは」の部分を抜粋して下述します。

 『(前略)・・・風土の歴史に根ざしながら時と所をこえてひろく享受されるもの、
 人間の叡智の結晶であり、人間性洞察力とその表現の美しさによって、私たちの想
 いを深くし、心を豊かにしてくれるもの、いま私たちの魂を揺さぶり「人間とは何
 か、生きるとは何か」との永遠の問いに立ち返らせてくれるもの、それが古典であ
 る。・・・(後略)』
 
 前述しました「紫式部日記」は、紫式部が藤原道長の長女で一条天皇の中宮となっ
た彰子に、女房として宮仕えをしたときの日記です。しかも七年程の宮仕えのうち、
現世に残っているのは僅かな期間だけで、一条天皇と彰子の間に生まれた若宮、道長
には初孫にあたる敦成親王の生誕から一年間くらいの生育過程における舘内の様子や
若宮生誕後に催された儀式の状況などが記述されています。そして敦成親王の生誕五
十日目の儀式「御五十日(ごいか)の儀」が「霜月のついたちの日」に挙行されてい
るのです。
 
 そして、この目出度い祝儀の席上、参列した居並ぶ女官たちの華麗な衣装のこと、
男どもが・・・といっても、貴族や侍大将が酒盛りになって「目出度い、目出度い」
と、大きな声で話し合っていることが日記には描写されていますが、その後、賑やか
な宴席の中なので、式部がそっと藤原実資に声をかけたことが書かれ、実資の無骨な
がら好感の持てる応答があったことを言ったところで、藤原公任がやや冗談っぽく紫
式部に、「ちょっと伺いますが、ここに若紫はおられますか」と声をかけています。

 上述が1008年11月1日のことです。それから千年、つまり2008年11月
1日、この日を「古典の日」にしようとの運動が起こった訳です。この藤原公任の発
言を以てして、源氏物語はこの時期には既に書き写されて、当時の人に読まれていた
ことが証明されたという訳です。紫式部日記を読み進めますと、このことのほかにも源氏物語に関して述べていると思われる箇所が幾つかあります。如何でしょうか。
古い時代の日本の様子が判りますと、長い年月を経てきた日本の歴史に何かを感じな
いでしょうか。

 少し長くなりますが、日記の続きを申し上げますと、紫式部は、藤原公任のその言
葉に対して「光源氏の君に似ていそうな方もいらっしゃらないのに、ましてや紫の上
がいらっしゃる筈もないでしょう」と思い、この和歌の名手の言葉を無視して聞き流
してしまうのです。応援団子には無骨な藤原実資に対する好意的な紫式部の態度と、
宴席という場を心得て座を盛り上げる貴公子の公任に対して取った態度の差を大いに
感じるのです。欲張り応援団子としては、この続きは稿を改めたいと存じますので、
今日はこの辺りで。
(応援団子A)

参考文献 岩波文庫「紫式部日記」池田亀鑑・秋山虔 校中
     講談社学術文庫「紫式部日記」全訳中 宮崎宗平



このページのTOPへ▲
<<気ままにご挨拶・24年10月へ 気ままにご挨拶・24年12月へ>>


Copyright 2005-2006 HEARTWARE Co. All Rights Reserved.