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健康の為にと、ウオーキングは真夏でも続けています。横浜市の東南に位置し、すぐ隣が鎌倉市というところを流れる「いたち川」の川沿いには、街が誇る自慢の散策コースがあって、いつもここを歩いています。街のパンフレットには「この地は鎌倉時代、鎌倉街道が通る幕府の交通上、軍事戦略上の拠点であり、宿駅にもなっていました。鎌倉を下(くだ)り、出立(しゅったつ)していく人を、人々はここまで送ってきて、安全を祈願して別れる出で立ち（イデタチ）の場というのが川名の由来になっています」とあります。春は花見に、夏は子供達の虫取りや水遊びに、秋は木の実を探すリスに出会う。幾つかのベンチは、高齢者の散策途中の談笑の場ともなっています。
三十分ほども歩くと、道沿いに水神橋という名の橋があって、その袂に小さな祠と桜の木が植えられています。そこは小さな三角地なのですが、十本ほどのヒマワリが今年も大きな花を咲かせました。どなたが世話をしているのか、毎年この小さなスペースにはアンバランスな見事な大輪の黄色い花を咲かせます。そのヒマワリの花が、今年も種を一杯に詰め込んで、頭の重たさに負けてうな垂れています。汗を噴出しながら歩く私には、ヒマワリが「暑さにマイッタ！」と言っているように見えます。私はまだそこからしばらく歩き続け、折り返し地点を引き返し、このヒマワリ畑？の近くにある公園で、柔軟体操と筋力強化のトレーニングをすることにしています。
いたち川沿いに散在する草むらには、昼顔の花が密集しているところがあります。この昼顔はヒマワリとは対照的に、暑い陽射しを受けているのに平気な様子で、わずかの風にも涼しげに薄紅色の花弁をゆらせています。私は「あんたは強いね」と声をかけてそこを通ります。身体中がびしょ濡れになっていても、
私も暑い夏にも、この昼顔にも負けてはいられないと年甲斐もなく闘志を湧かせます。知らず知らずのうちに進める一歩一歩に力が入ります。川面には鴨たちが悠然と泳いでいます。蝶がヒラヒラと花から花へと飛び交っています。今年は何だか大きなアゲハチョウが多く飛んでいるようです。
往復二時間ほどをかけるウオーキングですが、そして、出かける時は「嫌だな」と思う日があっても、家に着くときにはいつも爽快な気分になっています。今日も歩きながら考えていました。これまで歩いてきた道程を、これから歩いていく道を。美空ひばりさんの唄、「川の流れのように」が脳裡をかすめます。「雨に降られてぬかるんだ道でも、いつかまた晴れる日が来るから」。飛ぶように過ぎ去っていく時間ですが、どこからか「今を大事に、この一瞬を無駄にしないで」と囁く声が聞こえてきます。そうすると、いつも歩いているこの道が、何だかいとおしくなり、あたりの景色が一層輝いているように思えるのです。（Ａ）
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