ゴールデンウイーク、今年は「みどりの日」からの始まりです。これから十日間、日頃の疲れを癒し、心身のリフレッシュをはかる絶好の機会です。ところで、4月29日「みどりの日」は、もともと昭和天皇の誕生日を祝う祭日で、戦前には「天長節」といわれ、戦後は「天皇誕生日」と呼ばれてきました。今、国会では「昭和の日」という祭日に変更しようという祝日法改正案が提出されています。昭和天皇は、明治34年(1901年)4月29日に誕生され、三年後に日露戦争が勃発、大正11年(1921年)には、二十歳で大正天皇に代わって摂政となり、以後、波乱の日本政治を昭和20年(1945年)の敗戦の日まで司られました。
この時期が、日本にとって「狂気の繁殖した恐怖」に時代であったことは、前回の応援団コーナーに述べたとおりです。昭和天皇は、摂政時代を含めて政治家、軍人との軋轢、葛藤のなかで、幾つもの難問題に対して決断をされたのですが、結局は敗戦の日を迎えました。戦後は新憲法の下、平和な日本国の象徴として国事行為を勤められ、現在の平成天皇の世に継がれています。昭和天皇のご生涯こそ、まさに波乱の日本の昭和時代だったのです。
敗戦からの60年は、経済的な復興を果たし、諸外国に対してODA支援などで国際貢献を果たし、国際連合の常任理事国を目指すところまで来ましたが、今、日本は近隣諸国の「反日運動」という批判にさらされています。北京や上海で展開された中国人による暴動、しかも日本人には思いもつかない「日本軍国主義の復活」などと叫ばれて、大使館や領事館に、石、ペットボトル、生卵を投げつけられ、日本商品不買行動にまで拡大してきて困惑しています。「これは一体どうしたことなのだろう」と、戸惑うばかりです。
よく言われることに、近隣諸国とわが国の歴史教育の差があるのだと。中国や韓国で教えられている歴史と、日本の歴史教育の何が違うのでしょうか。前回の「狂気が繁殖する恐怖」で取り上げた四十年間の徹底的な検証が必要であり、各国の歴史学者が揃って正しいという東アジアの歴史教育を確立する必要があります。いつの時代も「国が国民を守り、国民が国を守る備え」は、必要です。しかし、政治に利用される歴史教育には、断固と「否」を唱えなければなりません。
このゴールデンウイークで中国に旅行をしようとしていた数万人の日本人が、その旅行をキャンセルしたといいます。日中両国にとって不幸な出来事です。一挙に解決できる問題とは思いませんが、「臭いものには蓋をして」通り過ぎるという態度ではなく、本当の意味の「平和友好条約」を近隣諸国との間で締結するために、日本人は昭和という時代を明確にしておく必要があります。長々と書きましたのは、「みどりの日」という祭日呼称を「昭和の日」にして、昭和を考える日にしたいと言いたかったからです。(A)
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