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冬の公園(平成16年12月-2)

週刊新潮に、昭和38年12月から平成7年8月まで、31年間と9ヶ月、1614回に亘って連載をされた「男性自身」の執筆者である山口瞳さんが亡くなられて、来年はもう十年になる。「冬の公園」と題して新潮文庫本に収められたのは、昭和40年7月発刊の「男性自身」と、昭和41年4月発刊の「ポケットの穴―男性自身シリーズ―」(いずれも新潮社刊)から選ばれたもので、昭和57年6月に文庫本となった。短編が連なる本書の題名が、その短編の一つである「冬の公園」になったのは、編集者の意図によるものと思われるが、「公園は、冬のほうがいい。冬の公園は空いている。空気が澄んでいる。」で始まるこの話は、いつかその公園で出会った一組の夫妻が離婚した話に展開していく。その夫たる人が、まるで子供のように公園のゴーカートに夢中になって6回も乗り、その度に夫人が手を叩いて喜んでいた光景を、ちょっと異常ではなかったかと結ぶ。

ここに収められている作品では、山口さんの人を観察する鋭さが語られている。そして多くは、男性から見える女性の奇妙な思考や行動がやり玉に上げられるのであるが、山口さんは、そうした出来事にやさしく愛を注ぎ、哀惜の念を込めて書く。それが読む者にはひしひしと伝わってくる。それにしてもここに収められた作品には、随分とお酒のことが語られる。上述の「冬の公園」でもウイスキーのコーラ割りを飲む場面が出てくるし、また別の話で、思わぬところで頂いた特級のウイスキーは、人の目に触れる応接間などに飾って置くなどというのはとんでもない間違いで、直ちに銘酒と闘うが如く飲みはじめ、空瓶にして放り出す。「だから、良いお酒を貰ったその日と翌日は、全く駄目な日になってしまう」と嘆く。まさに酒飲みの模範というか、師、そのものではないか。また、酒飲みは心優しく家族思いであるとも言う。奥さんに愛らしい駒下駄をプレゼントに買ったある人が、何故女房にこのプレゼントをするのかを、あちこち飲み屋を廻って言いふらしているうちに、酔い痴れてしまう話は、どこか哀しい。

このほか山口さんの作品には、「月曜日の朝」、「金曜日の夜」、これが一緒になった「月曜日の朝・金曜日の夜」と題した文庫本、「酒飲みの自己弁護」などなど、流石に嘗て洋酒会社の宣伝部で働いた人だと思わせる話が詰まっている。というより、こういう博学かつ豪傑がいたからこそ、日本を代表するような洋酒会社になり得たのかも知れない。今年もいよいよ年末を迎え、働く人々にとってはお酒を飲む機会は増える。酒の場では心温まり涙するシーンもあれば、自己嫌悪に陥り、終日使いものにならない人も出てくるだろう。山口さんのお酒は、どんな場所にあっても、人に真似の出来ない素晴らしいものであったという。「酒は飲ませていただく」、「料理は食べさせていただく」という謙虚さと、清々しさが漂っていたことが語られる。そして一緒に飲む人をとても大事にしたという。これは山口さんの作品を読めば分る。どうです!酒を愛する諸君!この年末は、どんなに夜が寒くても、人恋しくなっても、翌日に爽やかな朝が迎えられる、心豊かでほのぼのとする、そんな「美味しいお酒」を飲みませんか。(A)

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