「鳥インフルエンザ」、思いもよらぬ鳥の病禍がアジアで猛威を振るい、人間への影響が取り沙汰されて不気味な日々が続く。医学者の努力で刻々とウィルスの追跡がなされているが、科学の叡知で何とか克服して欲しいものだと、暗いニュースを案じながら雨の富山に到着した。昨日までのその雨が今日は嘘のように晴れた。昼食をした呉羽の山から見る眼下の街は、まだまだ白一色に塗りつぶされている処も多いが、陽光に映える街全体の景色には、何か春を思わせる暖かさがあった。
移転後一ヶ月を経過した(株)ハートウェアの新事務所を訪ねると、山済みになっていた書類もすっかりと片付けられ、谷川社長の指揮の下、社員一同が一丸となって整備を進めていることが判る。新設の会議室には、パソコン連動のプロジェクターやコピー連動の電子黒板が設置されていて、事実、実施された営業月例会議は、プロジェクターから映し出された資料を基に進行し、出席者の目前でなされるデータ修正は、即座に全員が理解するという、極めて効率的かつ強力な威力を発揮した。使われている机もイスも機能重視の配慮がされており、特にイスの機能の説明を聞くにつけ、「坐る人に優しい細やかな配慮」とはこういうことかと思った次第である。
帰途、夕日で淡い紅色に染まる立山連峰は空気の暖かさのためかやや霞んで見え、落日とともに山はやがて白に戻り、薄い墨色の空を背景にして浮かび上がる全景の神々しさを感じながら、この情景が富山人の心に影響を与えない筈はないと思った。雪の中でも木の芽や花の蕾は膨らんできている。春は近い。
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