翼の王国 B より
ANA’S WОRL SCОPE
文=舩越園子
春の満月
雪が解け、草木が芽吹く春が到来すると、この人のこん
な逸話を思い出す。
1994年に米ツアーデビューしたスティーブ・ストリッカーは
96年に初優勝、98年以降はメジャー4大会で頻繁に優勝
争いを重ね、「メジャーに強い男」と呼ばれるようになった。
だが、2003年ごろから成績は急降下。04年にはシード落
ちを喫し、05年の冬は深刻なスランプの真っただ中にいた。
スポンサーも離れ、シード権も注目も失った彼は、起死
回生を誓い、シーズンオフも故郷ウィスコンシン州で練習
場に向かった。豪雪で打席もボールもまったく見えない。そ
れでも彼は知人から借りたトレーラーを打席近くに止め、そ
の中から何時間もボールを打ち続けた。
スポンサー推薦に頼り、どうにか米ツアーに出続けた06
年、雪中練習の成果が実り、ほぼ復活。翌年は完全なる
復活を遂げ、2年連続でカムバック・プレーヤー・オブ・ザ・
イヤーを受賞。世界トップ5まで上昇した。
「ここまできたら世界一になりたい?」と思わず尋ねた。「世
界一なんて考えてもいない。僕はこのツアーに居られれば
幸せ。タイガー・ウッズが太陽なら、僕は闇夜に光る月で
いい」。彼は静かにそう言った。
→野球好きでなくても、かなりの人が、生涯一捕手現役を・・・・・。
長島さんをひまわりに、自分を月見草、太陽と月に例えた方を連想されると
思いますが。 続きをどうぞ、
勝負師たるもの、常に高い志を抱くべきと思っていた私は、
月に甘んじる彼の言葉に少々疑問を覚えたが、思い返せ
ば、当時の彼は凍える手で球を打ち続けたあの真冬の雪
の冷たさをまだ忘れ切れていなかったのだろう。あの雪さえ
回避できればいい。地を這うのではなく空に昇ることさえでき
ればいい。彼はそんな気持ちだったのだと思う。
今年も雪が解け、あの凍えながらの孤独な練習から7度
目の春が来た。マスターズは4月開幕。45歳になったストリ
ッカーはそろそろ「メジャーに強い男」から「メジャーチャン
プ」になっていい。 彼が今なお太陽ではなく月を望んでい
るのなら、月なら月で、どうか最高の満月へ。春の夜空に
映える満月は、きっと美しいに違いない。
ふなこしそのこ
在米ゴルフジャーナリスト。東京都出身。
早稲田大学政経学部卒業後、百貨店勤務、
広告代理店勤務を経て、フリージャーナリストへ。
1993年渡米。以来、アメリカのゴルフを取材し続け、
日本の新聞、雑誌、インターネットサイト等幅広く執筆している。
→この経歴と記事が気になりました。
→あるお客様
2月の一番雪の多い頃、テレビも面白くなく、ケーブルテレビのゴルフ専門チャン
ネルを見ていて、フム!「グリップ開き角度が・・・」と閃いた。
ストリッカー以上の積雪の、雪中練習で会得出来た。「上手く行く、スムーズで
切れが良い、弾道も・・・」
早速実践と砂地で雪の少ないゴルフ場に電話したが残念ながらクローズだった。
「雪の無いゴルフ場(滋賀・岐阜・三重)へ出かけましょう。」 と話は決まったが、
決行されていません。
実行されなくても、話しに花が咲き、楽しい気分になれるのが何よりです。
お客様に伺い、時間を共有させて頂く事が、大切な何かが積み重ねられて
行くような気がします。
「今年は雪掻きで腕の力はかなりついた気がします。 良く飛びますよ。」
空かさず、お客様から。
「一段と曲がりますかね。」 と、落ちを入れられ、笑ってお仕舞い。
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